ヤマハのトリシティ125は、前二輪という個性的なスタイルで注目を集める三輪スクーターです。しかし、その一方で「トリシティ125 欠点」と検索し、この記事にたどり着いたあなたは、購入してから失敗したくない、後悔は避けたいという思いが強いのではないでしょうか。
このバイクは一体どんなバイクなのか、一部でささやかれる不人気の理由や、壊れやすい持病の有無など、気になる点は多いはずです。また、走行性能に関しても、急な坂道登らない、長距離のツーリングつらいといった評価や、独自の構造ゆえに立ちゴケしやすく自立しないのではないか、という不安もあるでしょう。特に小柄な女性にとっては、その取り回しが気になるところです。
さらに、万が一の事故率と、LMW機構がもたらす独自の安全性のバランスは、購入を判断する上で非常に大切な情報です。中古での購入を検討している方にとっては、維持費や注意点も知っておきたい情報だと考えられます。
この記事では、そうしたあなたの様々な疑問や不安に寄り添い、客観的な情報と多角的な視点から、トリシティ125が持つ本当の姿を明らかにしていきます。
この記事のポイント
- トリシティ125の構造的な欠点と具体的な注意点
- 走行シーンや用途別のメリット・デメリット
- ユーザーレビューから見えるリアルな評価
- 購入後に後悔しないためのチェックポイント
購入前に知るべきトリシティ125の欠点
トリシティ公式より
ポイント
- そもそもトリシティはどんなバイク?
- 立ちゴケしやすく自立しない構造
- 女性には取り回しが難しい重量か
- 不人気と言われるのはなぜか
- 壊れやすい持病はあるのかを解説
- 独自の構造がもたらす安全性
そもそもトリシティはどんなバイク?
トリシティ125は、ヤマハ発動機が「LMW(リーニング・マルチ・ホイール)」技術を初めて採用した、前二輪・後一輪の三輪スクーターです。二輪車のように車体を傾けて旋回できる自然な操縦性と、三輪ならではの安定性を両立させている点が最大の特徴と言えます。
LMW技術は、左右独立して動くフロント二輪と、それを支える「パラレログラムリンク」という機構によって実現されています。これにより、段差や荒れた路面でも衝撃を柔軟に吸収し、高い接地感を保ちながら走行することが可能です。
ただし、三輪でありながら停車時に自立する機能は備わっていません。そのため、停車時には二輪車と同じように足で車体を支える必要があり、駐車の際にはサイドスタンドかセンタースタンドを使用します。
以下に、現行モデルの主なスペックをまとめました。
項目 | スペック (ABS非装備モデル) | スペック (ABS装備モデル) |
---|---|---|
全長×全幅×全高 | 1,980mm × 750mm × 1,210mm | 1,980mm × 750mm × 1,210mm |
シート高 | 765mm | 765mm |
車両重量 | 159kg | 164kg |
エンジン | 水冷4スト単気筒SOHC4バルブ | 水冷4スト単気筒SOHC4バルブ |
総排気量 | 124cc | 124cc |
最高出力 | 9.0kW (12PS) / 7,500rpm | 9.0kW (12PS) / 7,500rpm |
最大トルク | 12N・m (1.2kgf・m) / 7,250rpm | 12N・m (1.2kgf・m) / 7,250rpm |
燃料タンク容量 | 7.2L | 7.2L |
燃費(WMTCモード値) | 43.6km/L | 43.6km/L |
タイヤサイズ(前) | 90/80-14 (x2) | 90/80-14 (x2) |
タイヤサイズ(後) | 130/70-13 | 130/70-13 |
このように、基本的な性能は125ccクラスのスクーターですが、車両重量が一般的な二輪スクーター(例:ホンダPCXが約130kg)に比べて30kgほど重い点は、理解しておくべきでしょう。
参考:トリシティ公式
立ちゴケしやすく自立しない構造
トリシティ125を検討する上で最も注意すべき点の一つが、停車時や取り回し時の転倒リスク、いわゆる「立ちゴケ」です。前二輪という安定したイメージから「転ばないバイク」と誤解されがちですが、構造を理解しないと予期せぬ転倒につながる可能性があります。
なぜ立ちゴケしやすいのか
最大の理由は、前述の通り、停車時に自立する機能がないことに加えて、160kg近い車両重量が挙げられます。特に、わずかに傾けた際の倒れ込もうとする力が、一般的な二輪車よりも強く感じられるというユーザーの声が多数あります。これは、傾けた反対側のタイヤが支点となって踏ん張ることで、テコの原理のように内側への力が強く働くためと考えられます。
また、フロント周りの部品点数が多く重量があるため、押し引きの際にバランスを崩しやすいのも特徴です。平坦な場所ならまだしも、少しでも傾斜のある場所や、砂利道などでバランスを崩すと、重さも相まって支えきれずに倒してしまうケースが少なくありません。
自立機能は搭載されていない
上位モデルのトリシティ300には、停車時に車体の自立を補助する「スタンディングアシスト」機能が搭載されていますが、125と155にはこの機能がありません。したがって、信号待ちなどでは常に足で車体を支える必要があり、駐車時には必ずスタンドを立てる操作が求められます。この点を「三輪だから楽ができる」と考えていると、購入後に大きなギャップを感じることになるでしょう。
女性には取り回しが難しい重量か
トリシティ125の車両重量と独特の取り回しは、特に力の弱い女性にとって懸念材料となる場合があります。実際に購入した女性ユーザーからも、その重さに関する意見が寄せられています。
身長166cmの女性ユーザーのレビューでは、足つき自体には問題がないものの、一度倒してしまうと握力27kgの力では引き起こすのが非常に困難だったという報告があります。特に坂道で転倒させてしまうと、一人での復帰は絶望的になる可能性も示唆されています。
このため、トリシティ125は、誰にでも気軽におすすめできるわけではありません。もちろん、250ccクラス以上のバイクの取り扱いに慣れている方であれば問題ないかもしれませんが、50ccスクーターからの乗り換えや、バイク初心者の方が選ぶ際には、一度実車に触れて押し引きを試してみることが不可欠です。
購入を検討する女性の方は、デザインや安定性といったメリットだけでなく、万が一転倒させてしまった際のリカバリーが可能かどうか、という現実的な視点を持つことが大切になります。
不人気と言われるのはなぜか
トリシティ125は画期的なモデルである一方、一部で「不人気」と評されることがあります。これにはいくつかの複合的な理由が考えられます。
価格設定と維持費
まず、新車価格が一般的な125ccスクーターに比べて高価な点が挙げられます。ABS搭載モデルでは40万円を超え、これは同クラスの他車種よりも10万円近く高い設定です。この価格差から、同等の予算でより排気量の大きい250ccクラスの中古車なども視野に入り、選択肢から外れるケースがあります。
加えて、維持費の面でも懸念があります。タイヤは前二輪・後一輪の合計3本であり、交換時の費用は二輪車よりも高くなります。ブレーキパッドも3輪分必要になるなど、消耗品のコストが割高になる点は、経済性を重視するユーザーにとってはデメリットと感じられるでしょう。
独特のデザインと車体サイズ
近未来的なデザインは個性的で評価する声がある一方で、見慣れないスタイルを敬遠する層も一定数存在します。また、フロント部分の幅が750mmと広いため、一般的なスクーターを想定している駐輪場の枠に収まりにくい、あるいはすり抜けがしにくいと感じる場面があるかもしれません。この物理的な制約が、都市部での利用をためらわせる一因になっている可能性があります。
これらの理由から、画期的な走行性能を持ちながらも、価格、維持費、サイズ感といった実用面でのハードルが、一部で「不人気」と評価される背景にあると言えそうです。
壊れやすい持病はあるのかを解説
トリシティ125に特定の「持病」として確立された弱点があるわけではありませんが、ユーザーレビューや長期使用者の報告から、注意すべきいくつかの傾向が見受けられます。
電気系統のトラブル
特に初期モデルのユーザーから、バッテリー上がりに関する報告が散見されます。中には、新車購入から1年半ほどでバッテリー性能が著しく低下したというケースもありました。毎日乗るならまだしも、数日~10日程度乗らない期間があるとエンジンがかからなくなることがあるようです。これは、LMW機構に関連するセンサー類など、待機電力を消費する部品が多いことが影響している可能性も考えられます。
エンジンや駆動系のトラブル
また、長期間の使用でエンジン関連のトラブルを経験したという声もあります。例えば、走行距離が3万kmを超えたあたりで、エンジン系のセンサーやバルブに不具合が生じたという報告です。LMW機構を支えるフロント周りは特に繊細な構造であり、定期的なメンテナンスを怠ると、予期せぬ不調につながることもあり得ます。
これらの報告は全ての車両に当てはまるわけではありませんが、トリシティ125を良好な状態で維持するためには、日頃のバッテリー管理や、信頼できる販売店での定期的な点検が他のバイク以上に大切になると考えられます。
独自の構造がもたらす安全性
トリシティ125の安全性は、その最大の特徴であるLMW技術と表裏一体の関係にあります。この機構がもたらす高い安定性は、多くの場面で安全なライディングに貢献します。
例えば、雨天時の濡れた路面やマンホールの蓋、砂が浮いた道など、二輪車であればヒヤリとするような状況でも、フロント二輪がしっかりと地面を捉え続けるため、スリップによる転倒のリスクを大幅に低減させます。また、横風に対する安定性も高く、橋の上など風の強い場所でも安心して走行できたという評価が多く見られます。ブレーキ時もフロント二輪が安定しているため、急制動でも車体がふらつきにくいメリットがあります。
しかし、この高い安定性が「過信」につながる危険性も指摘しなければなりません。あくまで「転倒しにくい」だけであり、物理の法則を超えて「絶対に転倒しない」わけではないのです。カーブで無理な速度で進入したり、極端に滑りやすい路面で急な操作をしたりすれば、当然ながら転倒します。
要するに、トリシティ125の安全性は、LMW技術の恩恵を理解しつつも、決して過信せず、二輪車と同じように安全運転を心がけることで最大限に発揮されるものだということです。
用途別にみるトリシティ125の欠点
ポイント
- 長距離ツーリングがつらいという評価
- 急な坂道は登らないという声は本当か
- 事故率は他のバイクと比べて高い?
- 中古モデル購入で注意すべきこと
- 購入後に後悔しないトリシティ125の欠点まとめ
長距離ツーリングがつらいという評価
トリシティ125はシティコミューターとして設計されているため、長距離ツーリングにおいてはいくつかの欠点が指摘されています。
まず、乗り心地の面では、サスペンションが硬めであるという意見が多くあります。路面の細かな凹凸や、舗装のつぎはぎなどからの突き上げが強く、長時間の走行では疲労につながることがあります。特にリアサスペンションの衝撃が大きいと感じるユーザーもいるようです。
次に、ライディングポジションの窮屈さです。シートからハンドルまでの距離や、足を置くフロアスペースが狭いため、大柄なライダーにとっては窮屈に感じられる場合があります。シートの前後長も短く、乗車姿勢の自由度が低いため、同じ姿勢を長時間続けるのがつらいと感じるかもしれません。
さらに、125ccという排気量からくるパワーの限界もあります。高速道路を走行できないのはもちろん、流れの速いバイパスなどでは余裕がなく、常にエンジンを高回転で回し続けることになり、精神的な疲労感が増す可能性があります。
これらの点から、トリシティ125は街乗りや片道1~2時間程度のショートツーリングには適していますが、本格的な長距離ツーリングを主目的とする場合は、より排気量の大きいトリシティ155や他のツーリングモデルを検討する方が良いかもしれません。
急な坂道は登らないという声は本当か
トリシティ125の登坂性能については、ユーザーの間でも評価が分かれるポイントですが、「パワー不足で坂道を登るのがつらい」という声は確かに存在します。
この主な要因は、125ccクラスとしては重い車両重量にあります。約160kgという車重は、同クラスの二輪スクーターより約30kgも重く、このハンデが登り坂での加速に影響します。平坦な道ではスムーズに走行できても、勾配のきつい長い上り坂ではアクセルを全開にしても速度が徐々に落ちてきて、ストレスを感じることがあるようです。
特に、2018年以前の初期モデルは、現行のBLUE COREエンジン搭載モデルに比べて出力が低いため、この傾向がより顕著かもしれません。現行モデルでは低中速トルクが改善されていますが、それでも車重の根本的な問題が解決されたわけではありません。
したがって、「全く登らない」というのは言い過ぎですが、山道や峠道などを頻繁に走行する用途を考えている場合、登坂性能に物足りなさを感じる可能性があることは覚悟しておくべきでしょう。
事故率は他のバイクと比べて高い?
「トリシティ125の事故率は高いのか」という点について、公的な統計データは存在しないため、断定的なことは言えません。しかし、車両の特性から事故のリスクを考察することは可能です。
転倒事故のリスク
前述の通り、LMW機構による安定性の高さは、スリップによる転倒事故のリスクを低減させる大きな要因です。雨天時や悪路での走行安定性は、二輪車に比べて明らかに高く、これが事故防止に繋がるケースは多いと考えられます。
一方で、低速時や停車時の「立ちゴケ」のリスクは無視できません。車両重量の重さと独特の重心バランスから、押し引きやUターンなどの際にバランスを崩して転倒する可能性があります。大きな事故には繋がりにくいかもしれませんが、車体の損傷やライダーの軽傷を招く「事故」という観点では、リスクが低いとは言い切れません。
他の車両との事故
車体のフロント部分のボリューム感があるため、他の車両からの視認性は比較的高く、これが右直事故などの防止に寄与する可能性はあります。
以上のことから、トリシティ125の事故率は、一概に高いとも低いとも言えないのが実情です。走行中のスリップダウン事故は起こしにくい一方で、低速時の取り回しに起因する転倒リスクを内包しています。ライダーが車両の特性を正しく理解し、慎重に扱うことが事故を防ぐ上で最も大切になります。
中古モデル購入で注意すべきこと
トリシティ125を中古で探す際には、いくつかの注意点があります。価格の安さだけで選ぶと、後々のメンテナンス費用でかえって高くつく可能性があるため、慎重な見極めが求められます。
年式とエンジンの違い
まず、年式の違いを把握することが大切です。2018年モデル以降は、走行性能と燃費を両立させた「BLUE CORE(ブルーコア)エンジン」が搭載されています。それ以前の初期モデルに比べてパワーや燃費性能が向上しているため、特別な理由がなければ2018年以降のモデルを選ぶ方が満足度は高いでしょう。
消耗品のチェック
中古車で特に注意したいのが消耗品の状態です。トリシティ125はタイヤが3本あるため、3本とも交換時期が近いと、購入直後に大きな出費となります。また、ブレーキパッドやディスクの状態も3輪分チェックする必要があります。
フロント周りの状態
LMW機構を持つフロント周りは、トリシティの心臓部とも言える複雑な構造です。転倒歴があると、リンク機構に歪みが生じている可能性もゼロではありません。試乗が可能であれば、直進安定性やハンドリングに違和感がないかを確認し、信頼できる販売店で点検記録がしっかり残っている車両を選ぶことが望ましいでしょう。
購入後に後悔しないトリシティ125の欠点まとめ
この記事で解説してきたトリシティ125の様々な特徴を踏まえ、購入後に後悔しないために押さえておくべき欠点と注意点を以下にまとめます。
-
トリシティ125は前二輪の安定性が魅力の三輪スクーター
-
三輪だが停車時に自立する機能はなく足で支える必要がある
-
車両重量が160kg前後あり125ccクラスでは非常に重い
-
重さのため取り回しや押し引きは二輪スクーターより労力を要する
-
わずかな傾斜で倒れ込もうとする力が強く立ちゴケのリスクがある
-
特に力の弱い女性や小柄な方は引き起こしが困難な場合がある
-
新車価格が同クラスの二輪車に比べて高価な傾向にある
-
タイヤやブレーキパッドなど消耗品の維持費が割高になる
-
フロントの幅が広く駐輪場のスペースやUターン時に気を使う
-
サスペンションが硬めで路面からの突き上げを感じやすい
-
ライディングポジションの自由度が低く長距離では窮屈に感じる
-
車両重量に対してパワーが十分とは言えず登坂性能に不満が出る場合がある
-
バッテリー上がりの報告があり長期保管には注意が必要
-
LMW機構は繊細なためフロント周りのメンテナンスが重要になる
-
高い安定性を過信せず安全運転を心がけることが大前提となる