新型ルノー・カングーの購入を検討中に、「がっかり」というキーワードを目にして、不安を感じていませんか。旧型から大きく変わったデザインの評判は「ダサい」のか、価格が高いという声や、本当に売れてないのではないかという売れ行きへの懸念など、購入後の後悔や失敗は避けたいものです。
さらに、内装の質感や広くなったはずの荷室の寸法、国産ミニバンでは当たり前の電動スライドドアが非搭載であること、MTや4WDといった駆動系の選択肢、そして現実的な新車価格と値引きの状況、あるいは中古車という選択肢まで、気になる点は数多くあることでしょう。
この記事では、そうした疑問や不安を解消するために、新型カングーの特徴を多角的に分析します。ネガティブな評判の真相から、知っておくべき注意点までを詳しく解説し、あなたがカングー選びで後悔しないための判断材料をご紹介します。
この記事のポイント
- 新型カングーが「がっかり」と言われる具体的な理由
- 価格、装備、デザインに関するオーナーのリアルな評価
- 競合車にはないカングーならではの魅力と知るべき注意点
- あなたにとって新型カングーが本当に最適な一台かどうかの判断基準
なぜ新型カングーはがっかりと言われるのか?
カングー公式より
ポイント
- 新型カングーの特徴と旧型からの変更点
- 評判はダサい?ネットにある後悔の声
- 新型は高い?気になる値引きと総支払額
- 売れてないという噂と実際の売れ行き
- 内装の質感と広くなった荷室の寸法
新型カングーの特徴と旧型からの変更点
新型カングーは、旧型からプラットフォームを一新し、走行性能と安全性が大幅に向上した一方で、デザインやボディサイズが大きく変更された点が最大の特徴です。この変化が、長年のファンから賛否両論を呼ぶ大きな要因となっています。
最大の変更点は、ルノー・日産・三菱アライアンスによる最新プラットフォーム「CMF-C/D」の採用です。これによりボディ剛性が格段に高まり、高速走行時の安定性や静粛性は旧型とは比較にならないほど進化しました。また、ストップ&ゴー機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)やレーンセンタリングアシストといった先進運転支援システム(ADAS)が標準装備され、安全性と快適性が現代の乗用車として十分なレベルに引き上げられています。
一方で、ボディサイズは全長4490mm、全幅1860mmとなり、旧型に比べて全長が約210mm、全幅が約30mm拡大しました。このサイズアップは、荷室空間の拡大に貢献しているものの、日本の道路環境では「大きすぎる」と感じるユーザーもいるようです。
デザイン面では、旧型の持つ愛嬌のあった顔つきから、近年のルノー車に共通するシャープでモダンなデザインへと刷新されました。カングーの象徴とも言える観音開きのダブルバックドアは、欧州の乗用モデルにはない日本市場向けの専用装備として継承されています。
これらの進化は、新型カングーをより快適で安全な乗用車へと押し上げたことは間違いありません。しかし、旧型が持っていたコンパクトで道具感あふれる独特の雰囲気を愛していたユーザーにとっては、この「乗用車化」が寂しさや違和感につながっていると考えられます。
評判はダサい?ネットにある後悔の声
新型カングーのデザインについては、個人の好みによって評価が真っ二つに分かれているのが現状です。「ダサい」「商用車にしか見えない」という否定的な意見がある一方で、「ギア感があって格好いい」「見慣れると愛着が湧く」といった肯定的な声も少なくありません。
デザインに関する否定的な意見
否定的な評判の多くは、旧型からのデザイン変更に対する戸惑いに起因します。特にフロントマスクは、Cシェイプのヘッドライトなど他のルノー車と共通の意匠となり、カングーならではの「ゆるさ」や個性が薄れたと感じる方が多いようです。レビューの中には「事務的で夢も希望も抱けない」「まるでドイツ車のようで、フランス車らしいエスプリが感じられない」といった厳しい意見も見受けられます。この乗用車然とした真面目な顔つきが、カングーに「道具としての気軽さ」や「癒やし」を求めていた層には受け入れがたいのかもしれません。
デザインに関する肯定的な意見
一方、この新しいデザインを好意的に受け止めているユーザーもいます。彼らは、よりモダンで洗練されたスタイリングや、道具としての無骨さを感じさせる「ギア感」に魅力を感じています。「BMWからの乗り換えでも内装にがっかりしない」「むしろこのデザインが好き」といった、これまでカングーのターゲット層ではなかったユーザーからの評価も獲得している点は注目に値します。
以上のことから、デザインが「ダサい」かどうかは、見る人の価値観に大きく依存すると言えます。旧型のイメージを強く持っているとがっかりする可能性がありますが、先入観なく一つの新しいMPVとして見れば、十分に魅力的だと感じる人も多いでしょう。購入後に後悔しないためには、写真やカタログだけでなく、必ず実車を見て自分の感性に合うかを確認することが大切です。
新型は高い?気になる値引きと総支払額
新型カングーの購入をためらう最大の要因として、その価格設定が挙げられます。「カングーにこの価格は高い」という声は非常に多く、旧型の気軽なイメージを持っているユーザーほど、その価格上昇に驚くようです。
価格上昇の背景
新型カングーの価格は、主力グレードである「インテンス」や「クレアティフ」でガソリン車が395万円、ディーゼル車が419万円からとなっています(2025年5月時点)。これは先代モデルの末期価格から100万円以上もの大幅な値上げです。この背景には、前述の通り最新プラットフォームの採用やADASの標準装備化といった性能向上のためのコスト増に加え、世界的な原材料費の高騰や円安が大きく影響しています。ルノー・ジャポンによれば、フランス本国からの提示価格を最大限に抑えた結果だとのことですが、それでもユーザーにとっては大きな負担です。
値引きと総支払額の実情
値引きに関しては、厳しい状況が続いているようです。多くのディーラーで、車両本体からの値引きは5万円から10万円程度、ディーラーオプションなどを含めても合計で15万円から20万円程度が現実的なラインという声が多く聞かれます。そのため、諸費用を含めた総支払額は、オプション次第で容易に450万円から500万円に達するケースも少なくありません。
この価格帯になると、国産のアルファード/ヴェルファイアの下位グレードや、他の輸入車MPV(シトロエン・ベルランゴなど)、さらには各種SUVも十分に比較検討の対象となります。したがって、新型カングーを選ぶ際は、この価格に見合うだけの独自の価値(デザイン、乗り味、積載性など)を自身が見出せるかどうかが、満足度を左右する重要な鍵になると言えるでしょう。
売れてないという噂と実際の売れ行き
「新型カングーは売れてない」という噂を耳にすることがありますが、その実情は少し複雑です。結論から言えば、旧型のような爆発的な人気モデルとは言えないものの、特定のニーズを持つ層から根強く支持され、着実に販売されています。
販売状況が落ち着いて見える理由
「売れてない」と感じられる主な理由は2つ考えられます。一つは、前述の通り車両価格が大幅に上昇したことにより、購入のハードルが上がったことです。もう一つは、シトロエン「ベルランゴ」やプジョー「リフター」、フィアット「ドブロ」といった、同じフランス・イタリア系の強力なライバル車が登場したことにより、市場の選択肢が増え、顧客が分散したことが挙げられます。旧型カングーは、このカテゴリーにおいてほぼ独占的な人気を誇っていましたが、現在はライバルと市場を分け合う形となっています。
実際の販売動向
具体的な販売台数の公式データは限られていますが、ルノー・ジャポン全体の販売は近年好調を維持しており、新型カングーもその販売を支える重要なモデルの一つです。発売当初のバックオーダーが解消され、街で見かける機会も着実に増えています。限定車や特別仕様車が発表されると即座に注目が集まるなど、熱心なファン層が確実に存在することを示しています。
つまり、「誰にでも売れる大ヒット車」ではなくなったものの、「独自の価値を理解する人が選ぶ、ニッチで魅力的な車」としてのポジションを確立したと見るのが適切でしょう。大衆車とは異なる個性を求めるユーザーにとっては、むしろこの「売れすぎない」状況が魅力的に映るかもしれません。
内装の質感と広くなった荷室の寸法
新型カングーは、内装の質感を向上させ、荷室寸法を拡大した一方で、その恩恵が全ての乗員に及んでいるとは言えない部分もあります。カタログスペックだけでは見えない、実際の使い勝手について詳しく見ていきましょう。
内装の評価:向上した質感と残る課題
インテリアは、インパネ周りに「ルーテシア」などと共通の部品を使用することで、旧型に比べて乗用車らしいモダンな雰囲気と質感を向上させました。しかし、価格帯を考慮すると、ドアトリムなどに使われる硬質なプラスチックの面積が広く、ややチープに感じるという意見も少なくありません。商用車がベースであるため、豪華さよりも実用性や耐久性を重視した作りと言えます。 一方で、頭上の大型オーバーヘッドコンソールをはじめ、収納スペースが豊富な点はカングーならではの美点として継承されており、日常使いでの利便性は非常に高いです。
室内空間と荷室の寸法:拡大の恩恵と注意点
ボディサイズ拡大の最も大きな恩恵は、広大な荷室空間です。通常時の荷室容量は775Lと、旧型から115Lも増加。後席を倒せば最大2,800Lという、まさにクラス最大級のフラットな空間が出現し、キャンプ用品やDIYの資材など、大きな荷物も余裕で飲み込みます。
しかし、注意したいのは後席の居住性です。全長が大幅に伸びたにもかかわらず、後席の足元スペースは期待するほど広くはなく、「むしろ国産のシエンタの方が広く感じる」という厳しいレビューも見られます。また、後席にはリクライニング機能や前後スライド機能がないため、長距離移動の際に乗員が楽な姿勢を取りにくい点はデメリットと言えるでしょう。
車種 |
全長 (mm) |
全幅 (mm) |
ホイールベース (mm) |
荷室容量 (L) |
新型カングー |
4,490 |
1,860 |
2,715 |
775 |
旧型カングー |
4,280 |
1,830 |
2,700 |
660 |
シトロエン ベルランゴ |
4,405 |
1,850 |
2,785 |
597 |
トヨタ シエンタ |
4,260 |
1,695 |
2,750 |
- (非公表値) |
このように、新型カングーは積載性を最優先するユーザーにとっては非常に魅力的ですが、後席に人を乗せる機会が多い場合は、実際に座ってみて居住性を確認することをおすすめします。
新型カングーでがっかりしないための購入ガイド
ポイント
- 電動スライドドアが非搭載なことの是非
- ファン待望のMTモデルは選択できるか
- 4WDの設定は無く新車価格は高め
- 価格を抑えるなら中古という選択肢も
- 新型カングーにがっかりする人の特徴とは
電動スライドドアが非搭載なことの是非
新型カングーには、日本のミニバンでは今や標準装備とも言える電動スライドドアが搭載されていません。この点を「がっかりポイント」と捉えるか、「カングーらしさ」と捉えるかで、この車に対する評価は大きく変わってきます。
電動非搭載の理由とメリット
カングーが電動スライドドアを採用しない主な理由は、その出自が商用車(LCV:ライト・コマーシャル・ビークル)であることにあります。プロの道具として、シンプルで壊れにくく、メンテナンス性に優れていることが重視されるため、複雑な機構を持つ電動機能は意図的に排除されているのです。 この手動式には、故障のリスクが極めて低いという大きなメリットがあります。また、自分の力で開閉するため、狭い場所で少しだけ開けたい場合など、直感的で細やかな操作が可能です。何より、この「自分で操作する感覚」が、カングーの持つ「道具感」や愛着につながると考えるファンも少なくありません。
手動式のデメリットと注意点
一方で、実用面でのデメリットも存在します。ドア自体が大きく重いため、特に非力な方やお子さんが自力で開閉するのは難しい場合があります。また、傾斜のある場所でドアを開けたまま保持する際には注意が必要です。両手が荷物でふさがっている状況など、国産ミニバンの電動ハンズフリー機能に慣れていると、不便さを感じる場面は確かにあるでしょう。
以上のことから、電動スライドドアの非搭載は、カングーの設計思想を象徴する部分と言えます。家族構成や主な使い方を考慮し、この手動操作のシンプルさを許容できるか、あるいは魅力と感じられるかが、購入を判断する上での一つの分かれ道となります。
ファン待望のMTモデルは選択できるか
運転を楽しみたい層や、旧型カングーのファンから根強く待望されているMT(マニュアルトランスミッション)モデルですが、その選択肢は非常に限られているのが現状です。
2023年の通常モデルデビュー時点では、新型カングーのトランスミッションは全グレードで7速EDC(エフィシエントデュアルクラッチ)に統一されており、MTの設定はありませんでした。このEDCは、ダイレクト感のある素早い変速が魅力の高性能なトランスミッションですが、MTならではの「車を操る楽しさ」を求めるユーザーにとっては物足りなさが残ります。
しかし、2025年5月10日に発売された特別仕様車「クルール」において、1.5Lディーゼルエンジンと6速MTを組み合わせたモデルが設定されました。これは、過去に先代モデルの限定車「リミテッド ディーゼル MT」が大きな人気を博したことを受けたもので、日本のファンの声に応える形で実現したと考えられます。
ただ、これはあくまで特別仕様車としての限定的な導入です。通常モデルとしていつでもMT車が選べるわけではないため、MTモデルを希望する場合は、こうした限定車の発売情報を常にチェックし、機を逃さずに行動する必要があります。もしタイミングが合わない場合は、中古市場で先代のディーゼルMTモデルを探すというのも一つの有効な手段となるでしょう。
4WDの設定は無く新車価格は高め
新型カングーを検討する上で、駆動方式と価格は避けて通れない重要なチェックポイントです。特に降雪地域にお住まいの方や、コストパフォーマンスを重視する方にとっては、慎重な判断が求められます。
駆動方式はFFのみ
まず、新型カングーの駆動方式は全グレードでFF(前輪駆動)のみとなっており、4WD(四輪駆動)の設定は日本仕様、本国仕様ともに存在しません。これは、設計のベースとなっているプラットフォームがFFに特化しているためで、ベルランゴやリフターといったライバル車も同様です。 もちろん、最新のトラクションコントロール技術や、良質なスタッドレスタイヤを装着することで、ほとんどの雪道は問題なく走行可能ですが、深い新雪や凍結した急な坂道など、生活道路の条件が厳しい地域で日常的に使用する場合には、4WD車に比べて不安が残る可能性があります。アウトドアレジャーでの悪路走破性を期待する場合も、過信は禁物です。
ライバル車との価格比較
前述の通り、新型カングーの新車価格はライバル車と比較しても同等か、やや高めの設定となっています。以下に主なライバル車との価格帯を比較します。
車種 |
エンジン |
価格帯(税込) |
ルノー カングー |
ガソリン / ディーゼル |
約395万円~429万円 |
シトロエン ベルランゴ |
ディーゼル |
約422万円~455万円 |
プジョー リフター |
ディーゼル |
約439万円~465万円 |
フィアット ドブロ |
ディーゼル |
約409万円~434万円 |
※2025年5月時点の主なグレードの価格。特別仕様車等を除く。
このように、どの車種も400万円を超える価格帯にあり、選択は非常に悩ましいところです。カングーはガソリンエンジンを選べるという利点がありますが、ディーゼルモデル同士で比較すると、他車との価格差はほとんどありません。最終的には、デザインの好み、乗り心地のフィーリング、そしてブランドに対する価値観が選択を左右することになるでしょう。
価格を抑えるなら中古という選択肢も
新型カングーの魅力は認めるものの、どうしても新車価格の高さがネックになる、という方には、中古車市場に目を向けることをおすすめします。発売から2年以上が経過し、徐々に市場に流通する個体が増えてきており、賢い選択肢となり得ます。
新型カングー中古車のメリットと相場
中古車の最大のメリットは、当然ながら価格です。新車登録から1~2年経過した走行距離の少ない個体であれば、新車購入時の諸費用分以上は安く手に入れられる可能性があります。2025年現在の相場では、300万円台前半から半ばで取引されている個体も見受けられます。特にディーラーの試乗車上がりなど、コンディションの良い「登録済未使用車」に近いものが見つかれば、非常にお買い得と言えるでしょう。
中古車選びの注意点
ただし、中古車選びには注意も必要です。特に新型カングーの場合、発売当初から報告されているCarPlayの接続不安定といった電子デバイス系の不具合が、ソフトウェアアップデートでどこまで改善されているかを確認することが大切です。また、当然ながら前オーナーの乗り方によって車両の状態は千差万別のため、信頼できる販売店で、保証がしっかりと付帯している車両を選ぶことが不可欠です。
もし、さらに予算を抑えたい、あるいは旧型のデザインの方が好きだという場合は、2代目カングーの中古車を探すのも良い方法です。こちらは100万円台から探すことも可能で、豊富なカラーバリエーションと長年熟成された信頼性で根強い人気を保っています。いずれにせよ、中古車は新車以上に一台一台の状態を丁寧に見極めることが、後悔しないための鍵となります。
新型カングーにがっかりする人の特徴まとめ
これまで解説してきた情報を総合すると、新型カングーの購入後に「がっかり」してしまう可能性が高い人には、いくつかの共通する特徴があると考えられます。以下のリストに多く当てはまる方は、購入前にもう一度、ご自身の価値観とカングーの特性を照らし合わせてみることを強くおすすめします。
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国産ミニバンのような至れり尽くせりの快適装備を求める
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車両価格や維持費を含めたコストパフォーマンスを最優先する
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シャープでモダンなデザインよりも、旧型のような愛嬌のあるデザインを好む
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故障のリスクを限りなくゼロにしたい、完璧な信頼性を求める
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電動スライドドアは絶対に必要だと考えている
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運転支援システムのエラーや電子機器の些細な不具合が許せない
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豪華でソフトな触感の内装を期待している
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後席に人を乗せる機会が多く、リクライニングなどの快適性を重視する
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降雪地帯に住んでおり、4WDの走破性が不可欠だと感じている
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MT(マニュアル車)でなければ運転する意味がないと考えている
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コンパクトなボディサイズと、小回りの良さを重視する
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リセールバリュー(再販価値)が非常に気になる
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シンプルな道具というより、ステータスシンボルとしての車を求めている
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細かいことを気にせず、大らかな気持ちで車と付き合うのが苦手
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フランス車ならではの「味」や「クセ」を不便さや欠点としか捉えられない